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もう一つの人間観

タイトル もう一つの人間観
著者名 和田重正
発行年 1984年
ページ数 四六判上製 208ページ
価格 1600円+税
ISBN ISBN4-88503-019-2 C0014 \1600E

「この自分とは何だろう」…またそう問わずにいられない自分とはいったい何者なのだろう。人間であるが故に抱くこの疑問に答える確かな“いとぐち”がここにある。

自分の正体を求めたり、生きるとはどういうことであるかを考えあぐねて暗中模索している人間――その人間を、生物進化の途上に生まれてきた生き物の一個体としてとらえることにより、本能をはじめとするさまざまな欲望の実態、そして大きく発達した大脳が繰り広げる知的な営みが果たすべき役割とその意味を明らかにする。この自分という個体を織りなす“いのち”の働きの方向をありのままに自覚することによって、欲望と苦悩に満ちた現代の苦境を乗りこえる可能性が開けてくる。

本文抜粋
本文190~191頁より
私は価値観には二種類しかないと思っています。前に挙げた、お金だの、地位だの、産業的価値だの、道徳的価値だのというものを価値基準とするような価値観は、不安定で、いつどう変るかわからない甚だあてにならないものですから、これらはひっくるめて相対的不安定価値観と呼び、もう一つはいのちの真実相を目安とした価値観で絶対的安定価値観と呼ぶことができます。
後者をどうして絶対的とか安定的などと呼ぶかと言うと、それは極めて簡単な理由からなのです。
この価値観の足場は、生物の進化というところにあります。生物としてのヒトがどちらの方向に向って変化することになっているかを考えると、〝自覚ある生物の実現〟を目指していると判断することができます。その変化即ち進化の方向に沿った考えや行動は、その主体である個体に安定と幸せをもたらすことは当然であります。そうでない考えや行動はその人に不安と不幸をもたらします。
そして、このいのちの流れの方向は、個人の意見や行動によっては絶対に影響されません。そうです。誰がどのように考えても、行動してもビクともしません。ですからわれわれ人間が採用し得る価値基準としてはこれほど頼りになるものはない、ということになります。
ですから、われわれが生き生きと、幸せに生きるためには、この価値基準をできるだけ明らかにすることが大事で、それを怠っていて、正しいとか、間違っているとか、損とか得とか騒いでみてもつまらないことです。

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