自然を操る文明をいさめ、自然と寄り添う文化へ
時を惜しまず自然の本質を追究し、いのちの森づくりに奔走する植物生態学者と、経済効率に妥協せず、建築設計を通じて自然と人間の融和を説く超高層建築家が、それぞれに切り開いてきた道に共通する自然観、人間観、そして哲学を語り合う。
人間は謙虚に自然から学び、奢ることなく自然と共に生きなければならない。
二人の対話は、現代の歪みつつある人間社会への警鐘であると同時に、震災後これからの日本を担う人々に伝えていかなければならない、心からのメッセージである。
【目次】
まえがき 宮脇昭
I 超高層建築から自然との共生を考える
II 潜在自然植生こそ自然本来のシステム
III 命をかけて本物を生きる
IV 次世代への伝言
あとがき 池田武邦
【著者プロフィール】
宮脇昭(みやわきあきら)
1928年、岡山県生まれ。ドイツ国立植生図研究所でラインホルト・チュクセン教授に潜在自然植生の理論を学ぶ。帰国後、全国の植生調査を行い、日本の潜在自然植生図を完成。横浜国立大学名誉教授、(財)地球環境戦略研究機関国際生態学センター長。国内外で精力的に植樹指導を行い、照葉樹林の森づくりに邁進する、現場主義の植物生態学者。
池田武邦(いけだだけくに)
1924年、静岡市生まれ。海軍兵学校(72期)卒業後、新鋭軽巡洋艦「矢矧」に乗艦、マリアナ沖海戦、沖縄海上特攻に参戦。戦後、東京帝国大学第一工学部建築学科卒。日本設計事務所(現日本設計)を設立、現名誉会長。日本の超高層建築の黎明期を開き、後にハウステンボスを設計するなど、自然を生かした環境都市計画に先鞭をつけた。
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