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心にすっととろける「道」の詩
老子の道徳経をいくつかの原典をあたりながら独自に校訂し、日本語に現代語訳。中国語、日本語ともに母国語の著者が、その真髄を誰でも読めるように書き下ろす。
第十二章 内なる静けさ
けばけばしい色彩は
人の本来の視覚を
窮地に陥れ
扇情的な音楽や
戦争のための行進曲などは
人の本来の聴覚を麻痺させ
ぜいたくな食事をつづけることは
人の本来の味覚を損ない
鳥や動物を追いかけ回して
狩りに熱中することは
人の本来の心を狂わせる
金銀財宝への飽くなき欲望は
人を恐ろしい行動へと駆り立てる
それゆえ
聖人は騒々しいことに
執われることなく いつも
自分自身の内なる静けさの中に
いるのである
【目次】(一部)
不思議の不思議/美しさと醜さ/聖人の治世/神に先立ちて/偏愛を知らず/谷の精/聖人は無私/最高の人/天の道 /身体と魂/無の働き/内なる静けさ/我が身を愛するように/道の綱領/古の賢者/永遠の法則/美風/悪風/素朴に返る/異邦人/命の姿/世界の手本/道からの協同/余り物の残飯/宇宙の母/亡国の種/明に入る/無の境地/世界は神聖/武力の限界/防衛のための戦争/名を強調せず/自分を知る/大いなる愛/味なき味/微にして明白/道は無名/真の徳性/一を得る/無と有/幽玄なるもの/陰陽の調和/過度に行為に出ず/足るを知る/貪欲の罪/本質を知る者/ほか
【著者プロフィール】
王 明(おう めい)
1945年、神戸市生まれ。中華同文学校小・中等学校、兵庫県立御影高校卒業。1964年同志社大学文学部美学科でカントを専攻。1968年、新華社東京支局参編部に入社、新聞報道を多数翻訳。1973年、横浜にて中国語専修の私塾を開設、中国語の普及に努める。1995年より著述に専念、メルヴィン・ウォンの筆名で詩集『共時宮詩稿』(書肆山田)を出版。
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