体心点の新しい発見 大伴由美子 体にはここさえ活性化すればすべてが良くなるという場所はないものか…そんな思いから「体心点」は見つかった。体心点を活性化するための呼吸法、そしてボディワークはかなりハードなもので、それはすべて私の身体感覚に導かれて生まれたものだが、時には何年もヨガを修練した人にさえ簡単にできないものがあり万人向きでないのが難点であった。 だが体心点の発見以降、その活性化は身体と脳を著しく活性化するものであることがクリニックの日常の診療でわかるにつけ、もう少し楽に誰でもできる方法(ボディワーク)はないものかと模索する日々が続いていた。 そんなある日のこと――呼吸法のクラスに集まった人達にあるひとつのボディワークをしてもらったら、その場ではいていたパンツがユルユルになった人がいた。それぞれの人に効果があったが、その場で腰まわりが細くなってしまったのに驚いた。 その後もこれを教えた人達は必ずと言っていいほど目に見えるように細くなった。体型が変わってしまうのだ。内臓の位置が変わるみたいという人もいた。くびれのない私の体にも変化が起きはじめていた。 なぜこれほど急激に体型が変わるのか、私は自分でも信じられない思いでいた。体心点の活性化はとんでもない力を持っている…と思いはじめていた。 そんな今年の一月の末、私は自分の不注意から凍結した冬の山道で転倒し、尾てい骨を強く打ってしまった。滑らないように注意して歩いていたのに久しぶりの雪と山の冷気が気持ちよく、ふと空を見上げた一瞬のことであった。失神しそうな激痛、その後の吐き気とふるえ、めまいなど最悪な状態であった。尾骨あたりは特に体心点と密接に関係がある場所で、ここを強く打撲したことはそのまま身体エネルギーの急速な低下を意味していた。 病院に行く、患部を冷やすなど、私はすべての常識的なことをせず、日頃言いつづけていることを実行することにした。 〇自分の身体の声を聴く 〇自分の中心を失わない というものであった。自分の体に何が起きているのか、正直、怖い気もしていたが、ジャンクション(天・地のエネルギーの合流点)を正常位置に保つことと、体心点の活性化をすれば、どうにか沖縄に帰れるのではないかと思った。 だが、その日の夜にはまったく歩けなくなり、左手はわずかに動かせるものの首も右手も動かなくなってしまった。みるみるうちにひどい状態になっていく体を不思議なほど静かに見ながら、なんとか体心点を活性化する方法を探った。 その時、沖縄の教室で教えていたあの方法をやってみた。これならゆっくりゆっくりとできそうであった。ユルユルと形にならない動きをするだけだが、体は確実に変化していった。まったく動かなかった体が日に日に回復していった。 なんとなくユルユルと動かして体心点を活性化する――それだけしか方法がなかったのに、病気の人や不自由な体で困っている人たちのためにと見つけたワークは着実に私の体を変えていった。その効果には自分でも驚くほかなかった。その後の院長の診療でそれは脳と内臓を活性化させるものであることがわかった。 だからその場で体に変化が起こるのだということも納得であった。 お年寄りや、病弱な子どもや、肥満で困っている人など、誰にでもできる新しい体心点のボディワーク。それは短時間で効果があり、大きな可能性を秘めている。 尾骨がずれてさわることさえできなかった事故から三週間。私は今、元気に動きまわっている。