本との出会いと人との出会いで、人は大きく変化するものだと思っています。そして、この二つの出会いはとてもよく似ています。 実際、私自身もそんな経験を幾度もしてきました。 人は誰でもオギャーと生まれてからこのかた、良くなりたいと思いつづけて生きはじめます。 ところが、偶然と言えるようなひょんな出会いの連続の中で、毎日なにかしらの影響を受けながら人生という道を歩いてしまいます。 楽しくって思わず笑ってしまうようなうれしい出来事もあるでしょう。 なんでこんなひどいことにと嘆き悲しみ、うらみつらみを抱く出来事もあることでしょう。
自分の人生は自分が描くものだと思っている人も多いのでしょうが、実際は、毎日起きる出来事の中で振り回されているだけなのです。 そんな偶然と思えるいくつもの出来事を振り返ってみると、逃げずに乗り越えた時は、必ず私たちの人生をより良くしてくれています。「奇跡」が起きるのです。
奇跡が起きる条件があります。それは、 「いたわりの心」 「思いやりの心」 「やさしい心」 この三つの心でどんな時にでも、人に接することができたときのみ起こるのです。 『風と琴』の中には、そんな三つの思いが文章の中でビュンビュンと飛び交っています。
この物語を通して、みなさんに感じ取っていただきたいことは、人を信じる力がどれだけプラスの力を生み出すかということ。人を本当に信じると、人生の中で奇跡という風は必ず吹くんだということを教えてくれるんです。 さあ、あなたも遠慮することはありません。この風にぜひとも乗っていただいて、さっそうと楽しい人生の道を歩きはじめてください。 『風と琴』必読です。 あ、それと野良猫ちゃんの動きにも注目ですよ。 これも「奇跡」のひとつです。
書店「読書のすすめ」店長 清水克衛