本文1〜3頁 (はじめに)より それは、忘れもしないある四月のさわやかな朝、北京の友 誼ホテルの広々とした敷地内でのことです。私は一本の背の高い木の前に立って、信じられないような驚きとうれしさを全身で感じていました。 とうとう木との交流に成功した…! 私の気が、木の気に触れ、木と私は言葉に尽くせない不思議な交流をしたのです。それは長い間待っていた魔法の瞬間、私の人生での最大の勝利の瞬間でもありました。(中略) 私の師、ヤン先生は「ほーう」とうなずいて私の報告を淡々と受け、目をキラキラさせながら、「それで? 何か見えたか?」とききました。 「いいえ」 「そうか、まだか」 「何か見えるようになるはずなのですか?」 「いや、いいんだ」 ヤン先生はそれから、おまえの進歩はなかなか速いが、傲慢になってはいけないよ、と言いました。(もちろんだ!)私は思いました。私はただうれしかったのです。うれしくてうれしくてたまりませんでした。木と人のエネルギーが交流する。それによって何がどうなる、ということはまだわからない、でも私は秘密の世界に通じるドアが開いたような気がしていました。それは何年もかかってようやく開いたドアだったのです。(中略)しかし、夢中になっている私に、ヤン先生はこう言いました。「生活に戻りなさい。帰ってまず日常生活を作るんだ。結婚して仕事を持って、まず生活そのものが気功だということを練習しておいで」 |