まえがき12〜13頁より いまなによりも大切なのは、過去の、つい昨日までの、いまだにかろうじて生き延びているネイティブ・ピープルたちが、いかに自然を――自然なるものを――自然であることを――尊敬し、崇拝して生きていたかを理解することである。われわれの中から、その自然を敬う気持ちが失われていった背景にあるものを知ることである。おそらくそのことを理解することができれば、失ったものが何かを知り、どうやって失っていったかもわかるし、そのときはじめて、われわれも今の急速に脱工業化に向かって変わりつつある世界に0いて、いっさいのものたちのための平和を獲得し、人類と自然の間のバランスをとることができるようになるかもしれない。 (中略) わたしたちは日本人になる前は「日本列島の人間」として自由であり、解放されていて、スピリットとともに生きていた。草や、樹や、石や、空を流れる雲の話す声を聞くこともできた。母なる大地をおとしめることもなく、自然には神秘的な力が存在することを知っていた。今、アメリカのネイティブたちが、アメリカ人になることによって何か大切なものを失いつつあるように、わたしたちは、日本人になることによって――良い日本人であることに一生懸命のあまり――決定的に何かを失ってしまった。わたしたちの精神が母なる日本列島の根っこから切り離されてしまったのだ。わたしたちは母親を喪失したかに見える。神話は奪われ、改ざんされ、気がついたときには父なる太陽が母親だと教育されていた。わたしたちはひっくり返った世界を正しいものと教育されて育った。 |