本文36頁より
だんだん研究を進めていくに従って、これまでの定説とされ、書物に書かれていることが事実と違っていることが解ってくるにつれ、私は書物をそのまま信ずることを止め、自然に学び、事実に忠実であることをモットーとするようになった。 その結果得たものがいわゆる革新の生命医学の8大原理である。 これは従来の生命科学の基礎となっている諸原理に対し、根本的な再検討を要請するものである。(中略) 現代自然科学は物質を主体として研究されてきた。 しかし、自然は、特に人間や生物は物質とエネルギーとを不可分な一体としてもっている。 しかるに自然科学の一分野である生物学や医学では生命を物理化学的方法で分析的に研究することを以って本道としてきた。 そして、全体を重視する哲学を軽視し、または無視してきた。 それでは生命や自然の真の姿、本質を見逃すことになるのは、むしろ当然である。 生命、生物は一個の全体である。 全体は単なる部分の算術的総計ではなく、部分のもっていない特性をもっている。 肉体と精神をそれぞれ分けて肉体、物質の面だけを生物学や医学が担当し、精神の面の研究は心理学が受け持つのは研究の便宜上とは云え、ついにそれが生命研究の正道であるかのように考えられてきた。 不可分一体(全体)である肉体と精神とを人為的に分けることは自然に反し、また、全体統一の学である哲学の主旨にも反することになる。 |